相続の流れ

相続とは

相続とは,被相続人(亡くなった人)の財産と借金の全てを相続人(妻や子などの親族)が受け継ぐ事です。大切な人が亡くなると,相続の手続きが始まります。その手続きは多岐にわたり,中には複雑で面倒なものがあったり,専門家のサポートが必要な場合もあるなど様々です。

相続の手続きと流れ

まずは相続の手続きの概要と手順の概要をご説明します。期限の定めのある手続きもあるので注意が必要です。

第一段階

死亡届の提出

被相続人が死亡すると死亡の事実を知った日から7日以内に住所地の市役所・町役場へ死亡届を提出する必要があります。

遺言書の有無の確認

被相続人が遺言書を残している場合,遺言内容が相続の基本ルールになります。そのため,遺言書のあることが見込まれるときは,遺言書が保管されていそうな場所を探します。

なお,公正証書によらない遺言書の場合,家庭裁判所の検認手続きが必要となります。

第二段階

相続人の調査

相続人を確定するために,被相続人の出生から死亡するまでの戸籍謄本等を取得して調査する必要があります。被相続人について生まれてから死亡するまでの戸籍謄本を取得するのは予想以上に時間が掛かることがあるので,早めに調査を始めることをお勧めします。

通常は,まず,被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)と改製原戸籍謄本を取得します。ただし,被相続人が転籍していることも多く,その場合は,遡って前の除籍謄本や改製原戸籍謄本を取得しなければならないこともあります。また,被相続人に子が無く,親も既に亡くなっているときは,兄弟が法定相続人になりますが,その兄弟が既に亡くなっているときは,兄弟の子が代襲相続人になるため,その戸籍がさらに必要となります。

調査により判明した身分関係をもとに相続関係図を作成すると便宜です。

相続財産の調査

被相続人のプラスとマイナスの財産を把握する必要があります。

通帳はもちろん,被相続人の手帳や同人宛の郵便物などを手がかりにします。

プラスの財産としては,不動産(土地・建物),自家用車,現金,預貯金,株式,売掛金,宝石,骨董品,ゴルフ会員権等があります。

マイナスの財産としては,借金,買掛金,未払い金,税金,保証債務等があります。

第三段階

相続方法の決定

相続財産を調査した結果,マイナス財産が多いようなら相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄の手続きをすることによって,相続人ではなくなります。なお,調査に時間がかかるなどを理由に,3か月の期間延長をすることもできます。

相続の仕方として,相続人全員の協議によって,法定相続分とは異なる相続割合を決めることもできます(遺産分割協議)。

第四段階

相続の実行(相続財産の引き継ぎ等)

遺言書や遺産分割協議書がある場合は,その内容に従って,具体的に財産の相続手続き(預貯金の解約払戻手続きや不動産の登記申請など)を実行します。遺産分割協議がまとまらない場合,相続の実行が困難になりますが,法定相続分の預金の解約払戻しに銀行が応じることもあります。

相続税の納付

相続する財産の額が,一定の金額(5千万円+法定相続人の数×1千万円)を超える場合,相続を知ったときの翌日から10か月以内に申告し,相続税を納税することになります。