遺言で認知をする場合,相続が開始すると同時に認知の効力が生じますが,遺言認知の届け出を,遺言執行者がしなければなりませんので,通常遺言書で遺言執行者の指定も合わせて行います。
遺言執行者は,その就任の日から10日以内に,戸籍法60条又は61条の規定に従って認知の届出をしなければなりません(戸籍法64条)。
遺言者の本籍地または遺言執行者の所在地の市区町村役場に,認知に関する遺言書の謄本を,(裁判所の選任によるときは選任書も)添付して認知届出書を提出します。
なお,成年の子を認知するには,その者の承諾が必要となりますので(民法782条), 届出するにあたっては,認知届にその者の署名押印をしてもらうか,または承諾書を添付します。
また,胎児を認知するには,その母の承諾が必要なので(民法783条1項前段),やはり認知届に母の署名押印をしてもらうか,承諾書を添付します。この場合には,母の本籍地の役場で届出をする必要があります(戸籍法61条)。もし死産だった場合には,遺言執行者はそのことを知った日から14日以内に認知の届出地でその旨を届け出る必要があります(戸籍法65条但書)。