負担付遺贈(ふたんつきいぞう)

負担付遺贈とは,受遺者(遺贈を受ける人)に一定の法律上の義務を負わせる遺贈のことです。例えば,「私はAに自宅の土地建物を遺贈する代わりに,Aは私の妻が死亡するまで生活費として毎月20万円の生活費を支払うこと」という内容の遺言がそれにあたります。

通常の遺贈と同じく,負担付遺贈も,受遺者が遺贈を受けるか,それとも放棄するかについて選択することができます。また,受遺者は遺贈の目的の価額を超えない限度内においてのみ,負担した義務を履行する責任を負うとされています(民法1002条1項)。ですから先に挙げた負担付遺贈の例えでいえば,Aが毎月遺言者の妻に20万円ずつ生活費の支払を続けていたところ,遺贈を受けた土地建物の価格より支払い続ける生活費の額の方が多くなる場合,遺贈分を超えて負担を履行する義務はないことになります。

受遺者が負担付遺贈により負担した義務を履行しない場合には,相続人は相当の期間を定めて受遺者に義務を履行するよう催告することができます。それでも受遺者が履行しない場合には,負担付遺贈にかかる遺言の取消を家庭裁判所に求めることができます(民法1027条)。