非嫡出子とは,法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子のことを言います。
非嫡出子の扱いは主に次のように分けられます。
①法律上の父母が全くわからない場合(捨て子など)
父母が全くわからない以上,子は氏も戸籍も父母とは別になるし,父母から扶養を受けたり,相続することもありません。
②認知されていない場合
民法上,「嫡出でない子は,その父又は母がこれを認知することができる」(第779条)とされていますが,判例は非嫡出子と母との親子関係は分娩の事実によって客観的に親子関係が判断できるので法的な親子関係の発生には原則として母の認知を必要としないとしています(最判昭37.4.27)。ですから,認知は主に父子関係のものと考えられています。
父に認知されていない場合,その子は法律上父のない子となり,母の氏を名乗り,母を筆頭者とする戸籍に入ります。そして,母が親権を行使し,母に対する相続権があるということになります。
③認知された場合
非嫡出子と父との関係は,父が認知することによって生じます。
父に認知された場合,原則として非嫡出子は母の戸籍にとどまりますし,母の氏を名乗ってその親権に服することには変わりはありません。
認知されたことによって大きく異なることは,非嫡出子も父の相続をすることができるようになるという事です。ですから,相続の際に,遺産分割をするにあたっては,被相続人の生前に認知された子がいるどうかきちんと確認することが大切です。相続人全員が参加しない遺産分割協議は無効となるので,遺産分割協議をやり直さなければならなくなるからです。
民法の規定では非嫡出子の相続分は,嫡出子の半分とされています(民法第900条4号但し書き)。この点について,非嫡出子という立場によって相続分に差がつくのは不当な差別であり,憲法14条の法の下の平等に反しているとして何度も裁判で争いになっていましたが,平成25年9月4日に最高裁大法廷は,この民法の規定が憲法に違反すると判断しました。このため,この民法の規定は改正されることが予想されます。