遺贈とは,遺言による財産の無償譲与のことを言います。遺贈には包括遺贈と特定遺贈があります(民法第964条)。遺贈を受ける人のことを受遺者と言います。
包括遺贈とは,相続財産の全部または一部を遺贈することを言います。包括受遺者は,債務をも含めた相続財産の全部または一部を承継するので,相続人と同じ権利義務を持ちます。
そして,包括遺贈の承認や放棄については,相続人の相続の承認・放棄と同様に扱われるため,3ヶ月の熟慮期間中に遺贈の承認や放棄をしなければなりません。また相続人や他の包括受遺者と共に限定承認も出来ますし,一定の事由があれば,単純承認したことになります。
特定遺贈とは,特定の具体的な財産を遺贈することを言います。特定遺贈では,遺贈が効力を生じると同時に受遺者が遺贈の目的である具体的な財産を取得しますが,受遺者は,遺言者の死後いつでも遺贈を放棄することができます。
受遺者になるのに,条件などは不要なので,法人も遺贈を受けることができます。ただ,遺言の効力が発生する時点で,自然人であれば生存していること,法人であれば法人として存在することが必要となります。