遺留分(いりゅうぶん)

遺留分とは,被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して,法律上必ず留保されなければならない相続財産の一定割合のことです。法定相続人のうち,配偶者(夫又は妻),子供,親などの直系尊属には,相続の開始時に相続財産の一定割合を取得できる権利(遺留分権)が認められます(民法1028条)。また,代襲相続人にも遺留分権は認められます(1044条,887条第2項,887条第3項,901条)。

民法の相続に関する規定は,原則として任意規定であることから,被相続人は,遺言や生前の贈与または死因処分によって相続財産を自由に処分することができます。

しかし,一方で,相続は被相続人が亡くなった後の相続人の生活を保障するという側面もある上,被相続人名義の相続財産には相続人の潜在的な持分が含まれていることも多いことから,特定の相続人に対して,相続財産の一定割合については,遺留分という権利を認めているのです。

このため,遺留分の規定は,相続人の処分によって奪われない強行規定とされています。
もっとも,相続となるべき者が被相続人に対して虐待をしたり,重大な侮辱を加えたり,その他著しい非行などがある場合には,被相続人は家庭裁判所に相続人を廃除する旨の申請をして,相続権を剥奪することができます(892条)。